乳幼児期の子どもと一緒に暮らしている時に、気をつけていたことがあります。
- 子育ては、山の頂上に光るお星様を目指しているのだと言うこと。
- お星様は、子どもが自分の力で生きていけるようになること。
- 頂点を目指すルートは、複数あるけど、見上げる一点は変わらないでいること。
乳幼児期の子どもと過ごす日々は、今から思えば宝物の時間でした。
子どもは、日用品をおもちゃにする。だから、おもちゃは必要ないと思っていた。

子どもが生まれてから1歳直前までは、おもちゃなんていらないと思っていました。
おもちゃを買わなかった訳ではないのです。
最初のおもちゃとして、ベビージムを買いました。
ただ、どちらかと言うと購入した理由は、大人の事情です。

一人で遊んでくれたら、家事が出来るよね。
おもちゃを買わなかったのは、子どもにとっては全ての物が、おもちゃになると考えていたからです。
ティシュペーパーに洗濯バサミ、大きなバケツ。
台所のカゴと、その中のじゃがいも。
ムスコにとって、それら全てはおもちゃでした。
その代わり、子どもに触れて欲しくないもの、見せたくないものは、全て片付けていました。
子どもが手に触れるものは、遊んでも良い状態で暮らしていたのです。



子どものあのキラキラした、好奇心の瞳を守りたい。
本当は、思春期の今でも親はそうでなければならないのでしょうが・・・
絵本専門店に絵本を買いに行き、ムスコの運命のおもちゃに出会う。
1歳直前に、ベビーカーを押して出かけられる距離に、新しいお店ができました。
絵本とおもちゃの専門店でした。
絵本は「ほるぷこども図書館」、積み木は「童具館」の商品を扱っています。
絵本を目当てに、ベビーカーを押して出かけたかあちゃんは、ムスコの運命のおもちゃに出会います。
ドイツ製の木のおもちゃで、掃除機をモチーフにしたおもちゃです。
木の棒の先に車輪があり、車輪の軸の周りに木製のカラフルな小さなボールが付いています。
押すと車輪の周りのボールが動き、カラカラと音が鳴るのです。
ヨーロッパの木のおもちゃ?何なんだ?この食いつきは?
デモ用のおもちゃを持って、満足な表情のムスコ。
絶対に、手放しません。
こんなに頑固な姿は、初めて見ました。
お店のオーナーさんも、驚いて、



これはよっぽど、気に入っているのね。
このデモ用のおもちゃ、貸してあげるから、持って帰りなさい。
小さなお店のオーナーの親切に甘えて、借りて帰りました。
家に帰っても、そのおもちゃを持って部屋中を走り回ります。
(1歳前に、歩けるようになっていました。)
その熱中ぶりを、電話で聞いたばあちゃんは、



そんなに気に入ったのなら、1歳のお誕生日プレゼントに買ってあげるわ!
こうして、ムスコの運命のおもちゃは、まいご家にやってきました。
和久洋三先生の「おもちゃの選び方与え方」の冊子を持って帰り、積み木を知る。


デモ用のおもちゃを返して、同じ商品をいただきます。
その時に、お店の片隅に置かれていた冊子に目が止まりました。
和久洋三先生の「おもちゃの選び方与え方」を抜粋した冊子です。
ダイヤモンドの原石を渡さなければ、ダイヤモンドは作れない。
帰宅してその冊子を読むと、衝撃が走ります。
日用品や自然物
子どもは身の回りにあるものを何でもおもちゃにして遊ぶという面を持っています。コップやしゃもじ、外で遊べば石ころや棒きれなどをいろいろなものにみたてて遊ぶ姿を見ていると、「やっぱり子どもは遊びの天才だ」と感じる親御さんは少なくないと思います。だから、特別におもちゃなんて必要ないのでは、という声もよく聞きます。(中略)これらのモノには遊びに広がりがありません。
引用:童具館HP「おもちゃの選び方」より
かあちゃんが読んだ時には、
子どもは遊びの天才です。
だからと言って、石ころや木の枝だけでダイヤモンドを作れるでしょうか?
子どもにダイヤモンドを作れと求めるならば、ダイヤモンドの原石を渡さなければ作れない。
と言う内容があったと記憶しています。



頭を殴られた気持ちだった。
目の前で、今まで見たことのない姿で、おもちゃで遊んでいるムスコがいるのだから。
子どもに向き合って作られた、おもちゃを知る。
かあちゃんはこの時に初めて、子どものおもちゃには二つの種類があることを知ったのです。
- 子どもが興味を持つように作られたおもちゃ。(音や光の出るおもちゃ。キャラクターのおもちゃ。)
- 子どもの成長に向き合って作られたおもちゃ。(積み木や木のおもちゃ)
ここで重要なのは、子どもの成長に向き合って、子どものために作られたおもちゃだと言うこと。
木のおもちゃだから、良い訳ではない。
積み木なら、何でも良い訳ではない。
ヨーロッパのおもちゃだから、良い訳ではない。
(ただ、フレーベルやモンテッソリー、シュタイナーなど、ヨーロッパが発祥の幼児教育論が多いため、良質なおもちゃが多いのは事実です。)
ここから、かあちゃん・とうちゃん・ムスコのWAKU-BLOCKとの出会いがスタートするのですが、この話はまたいつか。



古い本なので金額が高額になっています。
参考に載せておきます。
正直に言うと、積み木を購入しただけでは、子どもは遊ばないと思います。
そのための親の勉強の本です。
どこかで見かけたら、手にとって見てください。
積み木の奥深さに驚くと思います。
遊び尽くした、運命のおもちゃ。
ムスコが気に入った、掃除機のおもちゃはその後どうなったのか?
3ヶ月くらい、起きている間は常に持って動かしていました。
かあちゃん達は、朝はムスコの掃除機がけの音で目が覚めます。
寝る前の絵本の読み聞かせの時間も、掃除機を持って走り回っていました。
かあちゃんが諦めて一人で絵本を声に出して読んでいると、たまたま早く帰宅したとうちゃんがその姿を見て呆れて、ムスコに声をかけます。



お母さんが、一人で絵本を読んでるぞ。



足を止めて、かあちゃんの方をみる。
かあちゃんが絵本を読み出すと、また掃除機をかけ始める。



大変だな。
3ヶ月が過ぎる頃には、かあちゃんの膝に座り、読み聞かせを聞く姿が戻ってきました。
今度は、



もっかい!!(もう1回)
攻撃が始まります。



勘弁してくれ。もう3回も読んだぞ。



そんなの私は、10回以上連続で読んでるわよ。
その後も、掃除機のおもちゃは大活躍をしました。
車輪のゴムが劣化して、修理にも出しました。
4歳の時に、どうしても動かないので再度、購入したお店に持っていくとびっくりされます。



これはもう、木の部分が磨耗しているから、直せないよ。
こんなに遊んだ子どもは、初めて見た。
このおもちゃも、これだけ遊んでもらえたら本望だよ。
今はもう手放しましたが、ムスコの心の中には今でもクルクル回る虹色のボールの残像があるそうです。