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他人事ではない。「買い物難民」のリアルな実情。

特別養護老人ホームで社会福祉士の実習を行わせていただいた時のことだ。

わたしは98歳の女性の利用者さまの担当になった。

その方と会話を交わしていた時に気づいたこと。

それは「買い物」に関する話を何度も繰り返されるのだ。

利用者さま

毎月1回、行きはバスでスーパーへ行き、帰りはタクシーで帰る。タクシーに積めるだけ荷物を積んで帰るのよ。

かあちゃん

タクシーですか?

利用者さま

持って帰れないもの。タクシー代がもったいなから。積めるだけ積む。

それだけ入所するまでの生活で大変な思いをされていたのだ。

「買い物難民」という言葉を聞いたことがあるだろうか?

少し考えてみたい。

目次

デイサービスで聞くリアルなお困りごとは、買い物に関すること。

デイサービスで聞くリアルなお困りごとは、着物に関すること。

かあちゃんは現在デイサービスで働いている。

そこで出会う利用者さまとの会話で、切実に訴えられる問題は「買い物」に関することだ。

「買い物」は衣食住を支える行為だ。

自分で「買い物」ができないと、生活のクオリティーが激変する。

運転免許証を返納すると、買い物にいけない。

一番多いのが、運転免許証の返納したことで「足」を失ってしまうパターンだ。

突然の病気により返納をした人。

徐々に運転技術の衰えを感じて返納した人。

きっかけは人によってそれぞれ違う。

かあちゃん

でも口を揃えて、ほとんどの人がいわれること。

自由がなくなった。

今まで思い立ったら車で買い物に出かけていた生活から、人に頼んで連れて行ってもらう生活への変化。

その変化に気持ちがついていかず、精神的に閉塞感を感じてしまうようだ。

歩いて出かけられる場所に店舗がなく、家から一歩も出ることができなくなる人もいるのだ。

移動販売車には欲しいものがない。

スーパー側も社会問題になっているこの「買い物難民」には対策は立てている。

例えば、トラックに品物を積んで店舗から遠い地域に出かける「移動スーパー」だ。

ただ実際に利用されている方の意見としては、

  • 生鮮食品の品数が少ない。
  • 欲しいものが売られていない。
利用者さま

だから利用できない。

免許を返納してすぐの利用者さまが困った顔をして話されていた。

たくさんの品物の中から、自分の気持ちにフィットしたものを購入するのが買い物の醍醐味だ。

かあちゃん

移動スーパーでは、この楽しみが感じられない。

そこが、移動販売車の限界だ。

「移動販売車」そのものは、かあちゃんが子どもの頃から実はあった。

店舗から遠い地域に、曜日を決めてトラックがやってくる「移動販売車」。

ばあちゃん

昔は肉や魚など、日持ちのしない食品を購入してたわ。

その当時の利用者と、現在の利用者の大きな違い。

それは利用する人は、1ヶ月前まで自分の車で運転して店舗に買い物に出かけていた人ということだ。

30年前の「移動販売車」の利用者にとっては、販売車での買い物は選択肢が広がるサービスだった。

現在の「移動販売車」の利用者にとっては、広い店舗からトラックへ選択肢が狭まるサービスだ。

実際にサービスを利用してみて「使えない」と感じるのも当たり前なのだ。

1ヶ月に1回、タクシーで買い物へ。

冒頭のかあちゃんが出会った利用者さまのおばあちゃんも、在宅で生活をしていた時には、自力でバスに乗って店舗まで行き帰りはタクシーを利用していた。

今のデイサービス利用者さまからも、月1回タクシーで買い物に出かけると言った話を聞く。

デパートに出かけた時にも、タクシーで乗りつけるシニアやタクシーを拾って帰るシニアの姿を見かける。

  • 自力で出かけられる人。
  • タクシー代を用意できる距離であること。
  • 荷物を自分で持ち運ぶことができる人。

このあたりが最低条件になってくる。

かあちゃん

つまりこの条件に当てはまらない人は、タクシーを利用することも困難だということ。

家族が買い物を代行すれば、解決になるのか?

多分一番多くの家庭が行なっている方法かと思う。

店舗での買い物だけでなく、ネットスーパーでの買い物の代行をしているご家族の姿も見かける。

この場合、家族がが必要と思う品物を購入しているのだろう。

実際に品物を使う人は、「実物」をみてはいない。

そこにギャップが生まれる。

「食べたいと思うものを購入してもらえない。」と言う利用者さまの声を聞いたことがある。

近くに住む娘さんが買い物を代行しているけれど、自分の家庭の買い物と親の買い物のダブルで疲弊している姿も見た。

かあちゃん

「買い物」は神経を使う作業。

最初は穏便にスタートしても、負担を感じてだんだんと親子の間がギクシャクしてくる。

まして「食べたいもの」を買ってきてもらえないと、不満がたまってくる。

かあちゃん

食の不満は、家族の仲を引き離してしまう。

「買い物難民」はなぜできる?

「買い物難民」はなぜできる?

では「買い物難民」が増えているのはどうしてなのだろうか?

高齢になって買い物が困難になることは、以前には問題にされなかったのだろうか?

近くにお店がない

そもそも近くに店舗がない場合が多い。

子どもの頃は、食料品や日用品を売っていた個人商店が地域に3軒くらいあった。

酒を買うならA店。魚はB店。という具合に住み分けをしていた。

ムスコ

今はどうなっているの?

かあちゃん

全てお店は閉めているね。

大型スーパーができた事で、歩いて出かけられる地域の個人商店はもうなくなってしまったのだ。

スーパーも撤退が相次いでいる。

かあちゃんの住む地域には、山を造成して作られた団地があちらこちらにある。

その団地の中には、小型のスーパーマーケットが作られていた。

ところが、その小型スーパーマーケットも次々と閉店しているのだ。

結果、少し遠くのショッピングセンターまで出かけないと食料品や日用品が購入できない状態になっている。

交通手段がなくなった。

さらに少し遠くのショッピングセンターに出かける「足」である公共交通機関の選択肢が少なくなっているのだ。

かあちゃん

バス路線はあるけれど、通学の時間帯しかバスが通っていない。

団地が高齢化して、通勤客がいなくなったことで路線を走るバスの時間帯が偏っているのだ。

バス路線があるならまだ良い。

ところによっては、公共交通機関は何もない地域もある。

こうなると「車」しか手段がないのだ。

支援も広がっているが・・・限界もある。

支援も広がっているが・・・限界もある。

「買い物」は、生活に直結する問題なので行政や店舗側も対策を打ってはいる。

スーパー側が、買い物に出かけるためのマイクロバスを走らせている店舗もある。

面白いサービスとしては、デイサービスに移動販売車がやってくる施設もある。

店舗側が買い物バスを走らせる。

店舗側が地域の実情に合わせて用意しているサービスだ。

店舗としても、高齢化してくるお客をお店に呼び込むための起死回生の策だ。

さらに購入した商品を、その日のうちに自宅まで別便で配送するサービスも用意してる。

配送を利用することで、重い商品やかさばる商品も買い物ができる。

でも実際は、実情と合わなくて使いにくい部分もある。

  • 最寄りのバス停までしか送迎をしてくれない。
  • ルートが決められているので、行きと帰りで乗車時間が違う。
  • 店舗での滞在時間も決められているので、時間を気にしながら買い物をする。
かあちゃん

バスのルートの最初に乗ると、すぐ側のスーパーに行くのに倍の時間をバスの車内で過ごす人もいる。

買い物バスは遠回りになるので、行きは休み休み歩いて買い物に行くと話してくれた利用者さまもいた。

杖をついて歩かれる方だ。

家からスーパーまでは、山を下ってさらに登らないとならない。

途中にベンチが用意されている訳ではない。

おそらくしゃがみ込んで休まれているのだろう。

かあちゃん

買い物に行くだけで、命をすり減らしてると言われていた。

買い物に出かける過酷さが想像できて、かける言葉がでなかった。

デイサービスに移動販売車がやってくる。

デイサービスにスーパーの移動販売車がやってくる最大のメリットは、自宅まで荷物を運んでもらえることだ。

デイサービスでは自宅から施設までの送迎を基本行っているからこそのメリットである。

かあちゃん

歩行が不安定な人には助かるサービスだけれども・・・

あくまで「助け」であって、根本解決ではない。

助かるけれど、デイサービスでの移動販売車で全ての買い物がそろえられる訳ではない。

重たい水物を大量に購入することはできない。

かさばる紙物を持ち帰るには、送迎車のスペースが足りない。

かあちゃん

施設側も送迎車を満員にして走らせないと、利益が出ない現実があるのだ。

買い物は生きる上での根本。

買い物は生きる上での根本。
かあちゃん

かあちゃんの働くデイサービスでも「買い物」がしたい要望はよく聞く。

例えば、「明日のパンがないから、売っていないのか」とか「帰宅して食べるお土産はないの?」と聞かれたことがある。

ご家族が買い物をしている利用者さまは「菓子パンが食べたい」と漏らされていた。

かあちゃんの働くデイサービスには、食料品を売る売店や移動販売車はこない。

それでも聞かれるのだ。

多くの人の話を聞いていると、「家族の支援」に満足して生活している人は少ない。

  • 週末に車で買い物に一緒に出かける。
  • 実家の冷蔵庫に、必要と思うものを購入して入れておく。
  • 離れて暮らす親の自宅に、ネットスーパーで購入した商品を届ける。

家族は自分たちできる事で支援しているが、実際に支援を受ける側で満足している人は少ない。

かあちゃん

今まで自由に暮らしていたのに、制限つきの生活になるようなものだもの。

自分の力でネットを使ってサービスを受けることは、老後の生活を豊かにする手段。

自分の力で動くこと。

ここが一番重要なのだ。

今まで買い物に自力で行っていたのに、「連れて行ってもらう。」ポジションになる。

たくさんの商品から好きなものを選んでいたのに、「家族が選んだ品物」を使うことになる。

このあたりが不満が溜まってくる部分だ。

その解決方法は、現時点ではネットを駆使して自分の力で商品を注文するしかない。

幸い、コロナ禍でECサイトは豊富になった。

ネットスーパー、デパートのオンラインショップ、産直サイトもある。

それを自分の力で商品を選び購入する。

自分の力で外に買い物に行けなくなる日が、必ず来る。

自分の選んだ品物を使い続ける日常を手放さないために。

その時のために、ネットを使いこなすスキルを身につけておこう。

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